新下関を抜けると、そこは雪国でした。
下関市内には幾つか温泉がありますが、泉質としてとても気に入っているのが一の俣温泉。アルカリ性単純硫黄温泉で少しぬるぬるとしていて肌がスベスペになる感触です。
この日は、下関駅周辺から新下関辺りを抜けると先日の雪の影響で想像していなかった一面の銀世界。気軽にいくはずが、途中でノーマルタイヤで大丈夫だろうか、と本当に心配になるくらいでした。スピードを出さないで雪景色を眺めながらの運転は、なにげに小旅行の気分にさせてくれました。素朴な田舎の雪景色に、いつもとは違う感情のスイッチが入ります。
露天風呂からの眺めも雪景色。雪を眺めながらの入浴はいつぶりだろう。
隣にいた方から「極楽ですね」とひとこと。極楽という言葉はこういう時の為にあるのでしょう。
少し冷たい空気と温泉の湯気、雪に反射する独特の光、露天風呂の屋根から時々落ちる雪の音、そしてジャグジーの泡の単調な音。それらがとても心地よい時間を過ごさせてくれました。
最近は住宅やオフィスなどを設計する場合おいても、こういった心地よさを感じる場所を特に意識的に考えるようにしています。自然、そして光・風・音・匂いなどを"美しく・心地よく"感じられる形の無いスイッチを備えた空間。
これはこの仕事を続けて行く限り考え続けるテーマのひとつです。