大きな自然災害は自分の身近なところで起こらないと中々実感が涌かない様に思います。
今年9月に静岡県の浜松市を台風15号が通過しました。数日後に改装工事の事務所検査の為に浜松市に行ったのですが南区では屋根の被害を受けている住宅が非常に多く見受けられました。また、天竜区でも木々が倒され一部の道を塞いでいたり、流木が川を塞き止めそうなくらい堆積していたりと被害範囲はとても広いようでした。
私の身内の家にも幾つか被害が見られ、事務所検査を行うついでに信頼できる工務店に補修の見積もりを依頼しました。こうした状況ですと屋根の施工業者に問い合わせが集中するので依頼した工務店に限らずどうしても被害が大きな家(直接的な雨漏りがあるなど)やお得意さんへの対応が先になるといったことが起きます。
また、保険の適用範囲や負担金額を考慮して工事内容を決めてなくてはいけませんので負担金額を気にする人はどうしても工事時期が遅くなります。ここで考えた事は、こうした際の見積もりによる金額の高い安い・工事内容の必要性などは一般の方は中々分からないのではないかということです。そして重要なことは、こうした状況でも設計事務所の役割があると実感したということです。
工事の施工業者の選定を行い、補修内容について必要な事を考え見積もり金額をチェックする。
そして、補修工事に関連した部分についても長期的なアドバイスができるということは大きな利点のように思えました。
そもそも設計事務所は設計監理やデザインを中心としたソフトの部分を業務としています。そして一般的にはソフトへの報酬は工事や製品といった直接的な金額とは違いどうしても付加部分としての認識になっていることが多いように思います。
しかしながらこの業界特有のブラックボックス的な部分を把握しながらクライアントに成り代わり工事内容や金額を監理することができるということはとても大きな役割のような気がしています。
今回はたまたま自然災害による補修工事に関わっていますが、こういった経験はこれからの新築やリフォームの設計にも役立てられる経験となりました。