建築界の巨匠ルイス・カーンがサーブドスペース(居間や食堂や寝室などの奉仕される側の空間)・サーバントスペース(台所や納戸・階段室や機械室などの奉仕する・生活を支える空間)を分離しながら独自の原理・原則を元に様々な建築空間の計画をしていたことはカーンを知るひとたちにとっては非常に有名な話のひとつです。
少しくずして言えば表の空間のためにも裏の空間を分離して表同様・もしくは場合によってはそれ以上の思考で計画しましょうという意味が含まれていると思われます。
住宅であれ店舗であれ施設であれ表の計画の打ち合わせと同等もしくはそれ以上に裏であるサーバントスペースの計画や予算のバランスをしっかり考えることが必要です。
そこを「それなりに」計画しておくとせっかくの表の空間が物で溢れたり、使い勝手が悪いことになりかねません。
私の事務所で住宅関係や施設の設計の相談や依頼があった場合ですが、まずは出来るだけ正直に使われている・住まわれているところのサーバントスペースを見せて頂くお願いをしています。
経験した多くの計画でそういったことを繰り返していると「物の量やその種類・置き場所」に平均・ふつうは無い事に気がつきます。
みなさんそれぞれに傾向というか癖のようなものが必ずあり、そこから普段の動線や趣味趣向のようなものも見えてきます。
そこをしっかりと検討することで完成後もできるだけ生活しやすい環境ができるのではないでしょうか。
最近、とある住宅の改修計画で裏であるサーバントスペースを中心に打ち合わせを数時間したのですが裏表を行き来しながら話をすることで表の空間もうまくブラッシュアップすることに繋がりました。
ついつい表の空間中心の思考になり裏というとキッチン以外のサーバントスペースの具体的な話は我々から話をふらないと出てこないことも正直多いですが、表のためにも裏をしっかりと検討することをお勧めいたします。